双子の入れ替わりをテーマにした作品って意外と多いですよね。
バタコも、つい先日
『古畑任三郎』の『ラスト・ダンス』と野間美由紀さんのミステリー漫画における共通点を発見しました。
それは『古畑任三郎』の最終エピソードとなった『ラスト・ダンス』です。
こちらは松嶋菜々子さんが犯人役を演じられ、視聴率29.6%にもなった話題作品ですのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
地上波のテレビで『古畑任三郎』の
『ラスト・ダンス』が再放送されていたものを録画して、つい最近、何気なくみていたんですが、
双子の入れかわりで殺されてしまった話を昔どこかでみたなと思い出したのです。
以前の記事に書いた野間美由紀さんの少女ミステリー漫画『パズルゲームはいすくーる』の中にやはり
『古畑任三郎』の
『ラスト・ダンス』と同じく、双子の入れ替わりの果てに殺人が起こるミステリーが収録されているのです。
では、さっそく『古畑任三郎ファイナル』の三部作の最後の作品である
『ラスト・ダンス』と、
野間美由紀さんのミステリー漫画に出てくる
『フェイド・アウト』における
双子の入れかわり殺人という共通点について詳しくご紹介します。興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
※作品のネタバレがありますのでご注意ください。
古畑任三郎のラスト・ダンスの双子
古畑任三郎の最終回
『ラスト・ダンス』では、脚本家として活躍する、双子の姉妹であるかえでともみじが登場します。
かえでは、企画力やテレビ局との交渉力にも優れています。ドラマの制作スタッフにも物おじすることなく、堂々と自分の意見を主張できる社交的な性格です。
かえでは打ち上げパーティーの後に、古畑をバーに誘います。そしてチークダンスを古畑と踊るのです。さすがの名刑事の古畑もドギマギしてすっかりかえでに心を奪われてしまいます。
一方、双子の姉もみじは仕事場に引きこもって、黙々とパソコンに向かってシナリオを作成する日々を過ごしています。
外に出ないので、髪型もボサボサで服装も地味でパッとしません。本人の性格もかなり内気な様子です。名前はかえでともみじなのに、まるで太陽と月のような対照的な双子姉妹ですね。
野間美由紀のフェイド・アウトの双子
野間美由紀さんの双子姉妹が入れ替わって殺されてしまう
『フェイド・アウト』は
パズルゲームハイスクール12巻(単行本)に収録されています。(※パズルゲームはいすくーるの文庫版には『フェイド・アウト』は掲載されていないのでご注意ください)
『フェイド・アウト』の主人公は男子高校生です。幼い頃住んでいた街に久しぶりに戻ってきます。男子高校生はこどもの頃から、近所の双子姉妹の姉、茜に好意を持っていました。
双子姉妹は茜と葵という名前ですが、あおいはおとなしくて控えめな性格です。しかし、茜は気が強くて、家族からも
「あおいはおとなしくていい子なのに」とつねに比較されて育ちました。
2人は一卵性の双子で顔がそっくりですが、性格は、かえでともみじのように正反対です。
けれど、主人公はその茜に心惹かれていたので、顔が瓜二つの茜と葵を間違えたことはありません。
その後主人公は引越し、高校生になった頃に再会します。茜だと思って声をかけると「いいえ、私は葵です」と言われてしまいます。主人公は今まで一度も茜と葵を間違えたことはなかったので、違和感を覚えます。
この違和感は古畑がかえでと入れ替わっていたもみじに感じたものと同じフィーリングですよね。
相手に恋心を抱いているからこそ、男子高校生も古畑も双子姉妹を見分けることができたのでしょうね。
バタコは双子のどちらかを好きになったことはないのですが、もし自分が双子のどちらかに恋したとしたら、彼らと同じように、やはりどんなにそっくりでも気づくことができるのではないかと思います。
古畑任三郎作品とミステリー漫画の双子の入れかわり殺人という共通項
古畑任三郎と野間美由紀の作品に登場する双子の姉は、どちらも入れかわりをします。
それは双子の妹を無きものにするためという共通点があります。
また、悲しいことにその殺人動機はどちらも双子の妹への嫉妬心というところも共通しています。
野間美由紀の『フェイド・アウト』の双子の茜は1人で入れかわりを企みます。
外出前に、まず自分の指に絆創膏を貼ります。「その指どうしたの?」と聞かれた母に「怪我した」と答えます。
母は「ほんとにあんたはそそっかしいんだから」と呆れて冷たい態度です。(かわいそうな茜)
その後、家族の目を盗んで、強制的にあおいに自分の服を着せて、自分は葵の服を身につけます。さらに、わざと葵の指をけがをさせ、彼女の指に絆創膏を貼るのです。
そして茜はだれもみていないところで、葵を道路に突き飛ばして、交通事故に見せかけて葵を殺してしまいます。
殺された葵は茜の服を着ていましたし、何より母親が茜から指を怪我したと聞いていたので、死んだのは茜だと誰もが確信しました。
茜が葵を殺したのは、「葵はいい子なのに」と家族からいつも疎んじられていたため、可愛がられている葵への妬みからでした。
茜は、その後自分を「葵」と偽り、入れかわったたまま生活を送ります。以降も、家族から
「事故にあって死んだのが茜でよかった」と何度となく言われます。それは、茜にとって、一生罰を受け続けるのと同じことです。
「茜が死んで良かった」と言われるのは自分自身が生きていることを否定されているのも同じことですから。
けれど、どんなに辛くても茜だとは決して名乗れないのです。だって、葵を殺したのは自分だと白状することになってしまいますからね。
だからこそ、自分と葵を間違えなかった男子高校生のことが嬉しかったのです。けれど、唯一、双子の入れ替わりに気づいた彼の存在は茜にとって、脅威な存在となってしまいます。
それゆえこのストーリーの話は非常に重く残酷な結末で幕を閉じます。衝撃なラストに子どもの時にこれを読んだ時はかなり心が折れそうになりました。
それだけにこの話は頭の片隅に残っていたのでした。
それゆえ、古畑任三郎のラスト・ダンスをみて、以前と同じように野間美由紀の作品を思い出すことになったのだと思います。
※なお、野間美由紀さんの読み切り傑作集である
『星飾り殺人事件』にも、表題作の他に、この『フェイド・アウト』が収録されています。
こちらは元々は
『パズルゲームはいすくーる』(12巻)の単行本に読み切り作品として収録されていたものなのでバタコも全て読んだことがあります。どの作品も1話完結で読みやすいのが魅力です。
本家『パズルゲームはいすくーる』よりもネットでの口コミが好評な短編集です。
今回ご紹介した
『フェイド・アウト』や他の単発読み切りミステリー漫画を読むことができるので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
ミステリー作品の題材となりやすい双子
双子というのは、ミステリーや小説、漫画の題材としても扱われやすいように感じています。
バタコはそれほどミステリー作品を読んでいる訳ではないのですが、
辻村深月さんの
このミステリー小説に出てくる双子姉妹はそれぞれ同意の上で、結婚式で入れかわりを企んで新郎を試すという大胆な設定のストーリーです。
けれど、新郎が双子姉妹以上に厄介な人物なんです。それゆえ双子の入れかわりの結末はとても意外な展開で終わります。
物語の中盤はドキドキハラハラしちゃいますが、ほーっとできるラストに安心する読者も多いことでしょう。
ミステリーが読んで見たいけど、殺人事件とかは嫌だなという方にぜひおすすめしたい、エンターテイメント性に溢れたミステリー小説です。
『ミステリと言う勿れ』にも双子姉妹を見分けるエピソードが掲載
バタコは、ミステリー作品に精通していないので、あまり詳しくありません。
が、最近ドラマ化もされて話題になっている
『ミステリという勿れ』がとても面白いので、少しずつミステリー作品を楽しんでいきたいなと考えています。
ちなみに
『ミステリと言う勿れ』にも、双子姉妹を見分けるというエピソードが登場します。
整君と姉妹達の掛け合いも興味深いですが、
それ以上に、整と姉妹達の緊急事態にガロ君が突然救助に現れて、久しぶりに再会を果たすなど、読者にとっては楽しくてスリリングなエピソードです。
『ミステリと言う勿れ』に興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。
まとめ
今回は、『古畑任三郎』の
『ラスト・ダンス』と少女漫画家の野間美由紀さんの『フェイド・アウト』に登場する双子の共通点について詳しく書きました。
バタコはその双子の入れ替わりのミステリー漫画を中高生のときに読みました。それからおよそ20年近く経ってます。
普段は忘れっぽい性格のバタコですが、なぜかこういうことはしっかり覚えているのは古畑任三郎にもきっと解けない謎でしょうね
それはさておき、こうして振り返ってみると、双子を題材にしたミステリーやサスペンス作品は思っていたよりも多そうです。
異なる作者が書いた、双子の入れかわりの作品を読み比べてみるのも面白いですし、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。